現在の小学生たちは、実にさまざまな習い事をしています。スイミングにサッカー、ダンスにテニスと、まさにありとあらゆることに挑戦できる環境です。しかし、私の子供の頃の女の子の習い事といえば、ピアノかバレィでした(年齢がばれてしまいますね)。私もご多分にもれず、ピアノを習っていたのですが、その腕前がまぁ悲しくなるほどで、先生もレッスンの度に毎回苦笑いといった感じでした。

しかし、そんなレッスン嫌いの私でも、3か月に一度ほど家に来てくれるピアノの調律師さんのことが、なぜか大好きでした。その方は、なんというか「執事」のような物腰で、常に優雅な立ち居振る舞いをしておられました。ピアノの横に静かに立ち、少し小首を傾げてピアノの音を確かめる姿に、子供心にいつも神々しささえ感じていたものです。そんな調律師さんは、もちろん声高にお話しされることなど無く、いつも物静かな佇まいでいらしたのですが、一度だけ、うちの母に向かって大変目を輝かせて興奮した様子でお話していた記憶があるのです。その時、調律師さんの口から何度となく出たのが「ベーゼンドルファー」という言葉でした。どうやらピアノの名前らしいということしか、こどもの私にはわからず、でもなぜか印象に残り、その後、私はその調律師さんのことを「ベーゼンドルファーさん」と呼んでおりました。

のちに調べてみると、ベーゼンドルファーはオーストリアに所在するピアノ製造会社だそうです。スタインウェイ、ベヒシュタインと並んでピアノ製造御三家に数えられ、音色は至福の音色と呼ばれるそうです。現在までにベーゼンドルファーが生産したピアノは48000台ほどで、およそヤマハの100分の1、スタインウェイの10分の1といいますから、その希少価値がわかりますね。今では、そのピアノも実家の片隅で埃をかぶり、何年も調律もされていません。ベーゼンドルファーさんがご覧になったら、きっと悲しそうに首を振ることでしょう。そんな私は、死ぬまでに一度でいいから、ベーゼンドルファーの至福の音色を聴いてみたいと思っております。

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